2015年3月12日木曜日

作業の種まき

以前の趣味は、三味線、踊り、歌という情報があったが、覚醒が低く、中々話すことができなかった入所利用者。

先週の土曜日、やっとお話ができた。

三味線や踊りの動画を見せると、あんたのおかげで思い出してきた!」といわれ、踊りや三味線の弾くまねをされる。


「盆踊り、やりおったで〜。

盆踊り踊って踊ってま〜た踊って、ま〜ほんに、よ〜踊ったわ。

今思うと、よ〜踊ったと思うわ。

踊りが好きだ。

ほんに輪になって踊りよったで。」


三味線のことを聴くと

「三味線を…あの…」といいながら、手で弾くまねをされ、

「今もっちょら…あの…弾くよ。

ま〜この頃弾かんけんな…

タンタンタンタンテットンシャン♪ハイッ♪…

弾きよったわ、ほんに。

もうな〜何の時だっただ〜か…」


最後は

「一緒に2人でステージでやらか!おもしょからぞやな〜!」

と笑顔でいわれる利用者さん。


この作業のストーリーを紡ぎ、その人らしさに触れたとき、

作業療法士になってよかったという大切な気持ちが改めて芽生えた。

そして、この方の大切な作業をチームで共有。

もう一人の担当OTに伝えると、「民謡や三味線の動画をみせたら、安来節を歌ってくれた」と話してくれた。

担当介護福祉士に伝えると、家族に三味線を持って来てもらえるか聴き、踊りや歌もできるときに声をかけてみると話してくれた。




老健に就職してから4年間くらいずっと一人で苦しんでいた。

素敵な作業療法士さんとの出逢いがあり、

作業選択意思決定支援ソフト(ADOC)を用いて面接を行ったことがきっかけで、作業療法の楽しさを知った。

同じ想いの後輩が入り、一緒に利用者の大切な作業に焦点をあてて関わることの楽しさを知った。


一人でできることはほんの少し。

でもチームで想いを共有して関われば、利用者にとってハッピーなことがたくさん起こる。

約2〜3年で自分が、そしてチームが少しずつ変わってきた。


作業の種をまく。

みんなで水やりをしていくと、

やがて芽が出て 膨らんで 花が咲く。



4月から臨床にでて7年目。

日々楽しい事ばかりではなく

辛くて不安や孤独を感じたり

自分の居場所はここにあるのかと考えたり

役割を果たせているだろうか

自分のしたいことはなんなんだろうかと

考えて前が見えなくなったりもする。



利用者の大切な作業が再び行えるような支援ができなくて

勉強不足、質の悪さをつきつけられる現実がある。

自分の仕事のできなさ、連携不足に悩む事もある。

自分に自信がなくて、作業療法士として色んな方の人生に触れているのが怖くなることもある。

でもそんな時に、支えてくれる職場の人達や、勉強会・学会で出逢った仲間の存在が今はある。


時には立ち止まり、後ろを振り返る。

立ち止まったことは決して悪い事じゃない。



今おかれてる状況に感謝して一歩前にすすむための大事な休憩時間。

立ち止まることで気付く事がたくさんある。

支えてくれる人達に感謝して

不器用なりにも歩んで行こう

利用者の過去・現在・未来を大切な作業で紡ぐ支援を、利用者、家族、チームと一緒にやっていこう



踊り&三味線の事例を通して感じた「作業療法って楽しい♪」の大切な気持ちを胸に、自分らしく、ありのままで向き合っていこう

どんな作業の花が咲くのかな

その人らしさが詰まった素敵な花が咲きますように